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新・日本のやさしい化粧文化史

古代、化粧のはじまりから美白ブームの平成まで、日本の化粧の歴史・文化を辿るコンテンツです。

第47回 昭和時代〔戦前〕-6 自由に個性美を表現する化粧へ<髪型-2:耳出しとウェーブ>

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耳出しヘアスタイルの女性/『婦人画報』(昭和4年9月号)/東京社(現ハースト婦人画報社)

昭和時代に入ると、女性たちのファッションや化粧は、それまでの儀礼やマナーにしばられたものではなく、自分が良いと思うものを選ぶようになっていきます。つまり、個性美やおしゃれを自由に楽しむ時代の到来です。髪型についても、定型的で社会通念にそったものではない、自分がしたいスタイルを自由に選ぶようになります。今回は、「耳隠し」につづいて一般女性の人気となった「耳だし」スタイルと、新しい髪型に欠かせないウェーブ技術についてです。「昭和時代〔戦前〕(1927-1945)の髪型-2」について、お話しましょう。

【1.耳隠しから、耳出しスタイル】

耳隠しブームも、昭和3,4年を境に耳出しというスタイルに変わっていきます。
『婦人画報』昭和4年9月号には、”特集・耳出し時代”として、美容家たちが提案する19もの耳出しスタイルや各界の有名人の談話が紹介された特集ページが大々的に組まれています。
当時活躍した画家の高畠華宵(たかばたけかしょう)は、「思ひ切って短くカットされた断髪が、だんだん飽きられて来て、そこで「耳出し」という新しい髪型が現れたといふわけでせう。大体、私は自分の趣味から言って、髪を大きく結ったのは大嫌ひなんです。「耳隠し」全盛時代の茲(ここ)2、3年間、この「耳隠し」をあまり描かないわけも、やはり同じ理由からです。頭が小さく見える「耳出し」髪は、私の最も好きな髪形で、以前から好んで絵に描く理由なんです。」と、「耳出し」への賞賛を寄せています。
耳を隠していたのをただ耳出しにアレンジしたという変化ではあっても、ここを契機に新しい流行が次々誕生する時代となり、髪型のトレンドサイクルが短くなっていきます。

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耳出しヘアスタイルを特集した表紙/『婦人画報』(昭和4年9月号)/東京社(現ハースト婦人画報社)

【2.ウェーブ技術の先駆け、マルセル・ウェーブ】

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マーセル・ウェーブ (マルセル・ウェーブ) のかけ方イラスト図/『近代美しき粧ひ』

耳隠しや耳出しなどの髪にウェーブをつける「マルセル・ウェーブ」は、フランス人マルセル・グラトーが19世紀後半に考案。世界的に広がり日本でも盛んに行なわれたウェーブ技術です。
マルセル・ウェーブは、櫛とマルセル・アイアンという鏝(こて)を使って、髪に熱を与えながらアイロン効果でウェーブを施す方法です。この波打つ髪のスタイルは、欧風結髪または洋髪と呼ばれ、以降、日本髪、束髪に対しての言葉として洋髪が一般的に使われるようになっていきます。
洋髪には、フィンガー・ウェーブ、ペーパーカールによるウェーブなども登場し、マルセル・ウェーブが刺激となって発明されたというパーマネント・ウェーブへと発展していきます。

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鏝(コテ)の熱で髪にウェーブをつけているところ/『お化粧と髪の結ひ方』

このようにウェーブをつけた髪を両サイドに流して耳を覆い、毛先を後頭部にまとめた「耳隠し」、さらに、今回紹介した「耳出し」がヒット。時代を代表するヘアスタイルとなっています。美容家の早見君子は、「今後、1人に求めて、2人に求め得ない個性美にぴったりあわせられる髪は、ウェーブを主とした、小さな髪型になっていくと思う」と自著に書いています。
ウェーブヘアは、それまで結われてきた日本髪や束髪に対して洋髪と称され、女性たちの心をすっかり捉えてしまいます。そして、その人気は、昭和初期以降のヘアトレンドをけん引していくことになります。

次回は、いよいよ当時、永久ウェーブとして紹介され、女性たちの心をたちまち捉えたパーマネント・ウェーブのお話です。「昭和時代〔戦前〕の髪型-3」で、引き続きお伝えします。10月15日更新、お楽しみに!

参考文献
『近・現代化粧文化史年表』/ポーラ文化研究所編
『明治・大正・昭和の化粧文化/時代背景と化粧・美容の変遷』/ポーラ文化研究所編
『モダン化粧史/粧いの80年』/ポーラ文化研究所編
『近代の女性美 ハイカラモダン・化粧・髪型』/ポーラ文化研究所編
『美容現代史』/日本理容美容教育センター
『美容文化論』/日本理容美容教育センター
『現代髪学事典』/高橋雅夫編集 NOW企画
『近代美しき粧ひ』/牛山春子著 岡田文祥堂
『お化粧と髪の結ひ方』/三須裕著 株式会社アルス
『どなたにもわかる洋髪の結い方と四季のお化粧』/早見君子著 資文堂
『婦女世界 現代美容総覧』(昭和2年11月号)/婦女世界社
『婦人画報』(昭和4年9月号・昭和5年6月号)/東京社(現ハースト婦人画報社)

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