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やさしい日本髪の歴史 世界に誇る日本文化、日本髪についてのやさしい基礎講座です。

第二十五回 断髪

「真っ直ぐの長い黒髪こそ美しい」という、長く根付いた美意識。これに風穴を開けたのが前回取り上げた「耳隠し」、大正時代に現れた髪にウェーブをつけて結う髪型でした。さらに美意識を根底からひっくり返したのが「断髪」です。

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襟足を刈り上げた断髪の女性
「婦人グラフ」昭和2年 国際情報社

断髪は、第一次世界大戦に従軍したヨーロッパの女性が手入れに困って髪を短く切ったのが始まりともいわれ、首筋辺りで髪を切り揃えたり、後頭部を刈り上げたヘアスタイル。自由で開放的、新しいものを追い求める風潮とも重なり、世界的な流行となりました。

日本では文明開化の頃、男性にならって髪を切る女性が現れたため、女性の断髪禁止令が出されたという歴史が。それほど女性が髪を切ることに対する抵抗感は根強いものでした。

この古い常識を断ち切るように髪を切り、新しい女性文化として断髪を始めたのが、時代の最先端をいくモダン・ガールとよばれた女性や、原阿佐緒ら女流文学者たちです。大正末期、「突飛」「不自然」という批判を浴びつつ進歩的な女性が取り入れた断髪は、昭和初期には女学生へ、やがて一般の女性たちへと少しずつ広がっていきます。

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断髪・洋装でスポーツ観戦するモダン・ガール
「婦人グラフ」昭和2年 国際情報社

社会慣習に則った従属的な髪型から、自己表現としての自発的な髪型へ。断髪は価値観の転換を決定付けました。「女性は断髪とともに解放された」という言葉が示すように、軽快で活動的な断髪は新しい女性美を表現しています。

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