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浮世絵にみる江戸美人のよそおい

第一回 名筆浮世絵鑑(めいひつうきよえかがみ) 五渡亭国貞(ごとていくにさだ) 文政頃

名筆浮世絵鑑(めいひつうきよえかがみ)

眉を描く

手拭(てぬぐい)を肩に掛け、鏡台に肘をついているのは、若い遊女であろう。箱枕(はこまくら)や布団が見えている。寝起きの身支度をしているところであろう。結綿(ゆいわた)(島田(しまだ)髷(まげ)の一種)に両天(りょうてん)簪(かんざし)と、束ねた元結(もとゆい)、大きな前髪くくりといった髪飾りは、若いということもあり、いかにも派手である。鏡に映る眉の形をじっと見る目は真剣で、眉ひとつで顔の印象が変わることもあり、左右のバランスも考えているところだろう。
肘の辺りにあるのは、眉墨(まゆずみ)で、江戸時代は油煙(ゆえん)、麦(むぎ)の黒穂(くろほ)、あさがら(アサの皮をはいだ茎)の黒焼(くろや)き、真菰(まこも)(イネ科の大形多年草。沼沢(しょうたく)に大群落をなして自生)なども使った。
鏡台をよく見ると、右に引出しが飛び出ている。これは、

引出しが手前に出ると、邪魔になって顔が近づけないからである。また、鏡台の中には、丸めた元結のようなものがあり、脇には嗽(うがい)茶碗(ちゃわん)と、ここでも何気なく白粉(おしろい)の美艶仙女香(びえんせんじょこう)が置いてある。
そして、着ている着物は竹に桜、馬も描かれ、中(なか)着(ぎ)は鱗(うろこ)模様(もよう)になっている。
後ろの掛け軸は江戸中期の浮世絵師、丹鳥斎奥村文角政(たんちょうさいおくむらぶんかどまさ)信(のぶ)(1686〜1764)が描いた遊女の絵で享保以後であろう。特徴のある反り返った髱(たぼ)の形や衣裳などの着付けで時代の違いがわかる。


次回の更新は10/23の予定です。