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クールジャパン伝統化粧の世界  日本人に流れる美のDNAデータ

「クールジャパン」とは、国際的に評価されている日本の文化。

この連載では、“クール”な化粧の歴史文化をひも解いていきます。

第一回 白も透明感も…白い美の追求

白粉三段重
白粉、粉白粉を水溶きして指や刷毛でつけた
白粉三段重/江戸末期〜明治

日本の伝統的な化粧といえば、白粉の“白”、 お歯黒・眉化粧の“黒”、口紅・頬紅の“赤”の 3色を使い、この3色をいかにバランスよく使い こなすかが大きなテーマであった。中でも白粉 化粧の“白さ”が、美を表現するうえの最大級 の要素だ。

白粉化粧のはじまったころの記録に、飛鳥時 代の持統天皇が僧・観成(かんじょう)から国 産初の鉛白粉を献上されたとある(692年)。 女性天皇は、白粉の白さに肌の白さを表現す る喜びを体感し、同時に白の持つ“崇高さ”や “清廉潔白”といったイメージを高貴な身分に重ね合わせたのではないだろうか?
平安時代の日本初の医学全集『医心方』(いしんぼう)(984年)には、白さだけではなく、美肌もセットで求 める一歩進んだ美白レシピが紹介されている。
そして、化粧が庶民にも普及した江戸時代には、庶民御用達の化粧バイブルといえる『都風俗化粧伝』(み やこふうぞくけわいでん)(1813年)が刊行された。この本には、白さの美を演出する究極の技の数々が紹介 されている! まず「色の白きは七難隠す」といい、白ければ多少の難点をカバーできるということで、美白レ シピを列挙。きれいな白粉化粧の基本である白い肌と美肌とをセットで追求することが当然になっている。

白粉のつけ方といえば、各部位に塗った後、水を含んだ刷毛で白粉をよく伸ばすことがコツで、これは現代で も歌舞伎や日本舞踊の化粧で活用されている。その後、和紙を顔にあてて上から水を含んだ刷毛ではくと、 むらなく肌に光沢がでてくる。また、粉白粉は顔を和らげる効果があるといわれ、その刷毛使いが、化粧ので き栄えを大きく左右する。
もうひとつ、“際化粧(きわげしょう)”という高度な技法も。額や襟足の生え際のかたちに細心の注意を払った 修正メークで、富士額や二本足などと、名前をつけるまでのこだわりメークであった。粉白粉を生え際に刷毛 ではき込んで、塗ったところとの境界線をぼかすこともコツのひとつとなっていた。
こうした白粉化粧法からは、江戸時代には、とても洗練された美意識のもとで人々が化粧をしていたことがわ かる。現代でも、雑誌グラビアのメークでは、生え際の処理の雑さが命取りになると聞くが、江戸の化粧法から ヒントを得ることもいろいろあるのでは?

*繊研新聞2015.3.24掲載「連続小講座クールジャパン伝統化粧の美」ポーラ文化研究所所員津田紀代 より加筆修正

次回の更新は8月26日の予定です。

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