HOME  >  社会・環境・文化活動(CSR)  >  CSRレポート  >  第三者意見
このページを印刷する

第三者意見

【プロフィール】
株式会社日本総合研究所 理事 ESGリサーチセンター長 足達 英一郎氏
環境問題対策を中心とした企業社会責任の視点からの産業調査、企業評価を担当。
金融機関に対し企業情報を提供。
著書に「環境経営入門」(2009年)など。
2009年5月までISO26000作業部会日本エクスパート。

社会的責任投資のための企業情報の提供を金融機関に対して行っている立場から、本書ならびに関連ウェブサイトを通じて理解したポーラ・オルビスグループのCSR(企業の社会的責任)活動ならびにその情報開示に関し、第三者意見を以下に提出します。

東証第一部に上場を果たされた最初の事業年度として、株主を初めとしてさまざまなステークホルダーの期待に耳を傾ける機会をこの一年に作られてきたことに、 まず敬意を表したいと思います。自分自身もダイアログに参加いたしましたが、社内参加者の皆さんから「会社を更によくしたい」という熱意がひしひしと伝わってくる会合でした。

御社グループが、CSRを強化される意義は明確だと考えます。上場によって企業の公器性が飛躍的に高まったということに加え、2020年に海外売上高比率20%以上 を目指すという長期ビジョンを掲げておられます。この一年のあいだにも、複数の個性的な海外企業がグループ入りを果たしました。従業員、取引先、顧客などのステークホルダーは、今後、確実に多様化していくことになるからです。

今後も、ステークホルダー・ダイアログをCSRの起点に置くという姿勢を堅持していただきたいと考えます。その際、CSRを「企業の決定及び活動が社会及び環境 に及ぼす影響に対して担う責任」として捉え、影響に関連する人々を積極的に招聘されてはどうでしょうか。御社グループのCSRは、「基本的」、「事業的」、「選択的」という3領域に整理されている点が特徴になっています。報告書には、この各々で計画と実績を開示され、自己評価が掲載されていますが、将来的には、ステークホルダー・ダイアログによって進捗が評価される状況が望ましいでしょう。

ISO26000に沿ったCSR活動の拡充を図っていくという判断も時機を得たものだと考えます。ただし、規格に盛り込まれた「望ましい」行動を一律に「できている」、「できていない」とチェックして、社内に展開することには無理があるという点に留意いただきたいと思います。「美と健康」分野のグローバル企業を目指すという目標設定に即して、グループ各社が社会及び環境に及ぼす影響を特定していただくことが重要です。特定に至る議論のプロセスを重視していただき、各社の自発性、段階性に配慮することが必要です。この結果、ポーラ・オルビスグループの優先順位が自ずとハッキリしてくることになるでしょう。

ISO26000に沿ったCSR活動の具体像は、今回の情報開示では未だ明らかではありませんでしたが、企業活動の好影響を伸長させ、悪影響をできるだけ回避・緩和するという視点で、ポーラ・オルビスグループならではの取組みが構築されることを期待したいと思います。一例をあげれば、化粧品原料として天然素材を利用する際のCSRは、重要な事項であると考えられます。また、約13万人にも及ぶポーラレディの方々の人材育成支援にも、大きな期待が集まる領域であると考えられます。こうした点の取組の拡充や情報開示を期待申し上げます。

最後に、本書では「東日本大震災と私たちの取り組み」と題した報告が掲載されています。この内容を拝見して、御社グループが発意、自主性を重んじ、個人を尊重する風土を有しているとの印象を受けました。企業としてのCSRは、個々人の世の中に対する感度や関心を礎として成立するものです。従業員の方からは「被災地が復興するには10年以上かかると思われますが、すでに対岸の火事や遠い記憶になりつつあるようです」との心に残るコメントがありました。是非、こうした思いを、企業の思いにも昇華させていただき、継続的な復興支援を図るトップランナー企業になっていただくことを期待いたします。

PAGE TOP