展覧会

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菊池敏正「対峙する客体 -形態の調和と造形-」
2016年7月16日(土)-7月31日(日)
11:00-20:00(入場は閉館の30分前まで)
入場無料/会期中無休

心の奥底に届けられる「静寂」。自分の内側へ静かな時間がゆっくりと横たわっていくような感覚を覚える。木彫や乾漆など日本伝統の技法で生み出される、数理模型(関数から成り立つ立体)やウニや骨などをモチーフとした、自然科学の調和された美しい作品たち。それらは、そのもの自体が持つフォルムが純粋な美をたたえている。躍動する生命感とは対極でありながら静謐で時には強靭な美を放つ、さまざまな形。無音の世界に身をおくように、ゆっくり作品と対峙すれば、いつもとは違う“物”への視点が生まれていく。「学術の中に美しさがある」と菊池は言う。

“美しいかたち”と向き合う静かで濃密なひとときは、自身と向き合う新たな“気づき”の時間でもある。

プロフィール
菊池敏正 / Toshimasa KIKUCHI

1979年 愛媛県生まれ
2008年 東京芸術大学大学院美術研究科文化財保存学保存修復彫刻研究領域 博士課程修了 博士(文化財)
2008〜2009年 同研究室教育研究助手
2009年〜 東京大学総合研究博物館インターメディアテク研究部門 特任助教

主な個展に2012年『Neo Authentic』(MEGUMI OGITA GALLERY)、2014年『Rational and Irrational』(MEGUMI OGITA GALLERY)がある。
東京大学総合研究博物館学術文化総合施設インターメディアテク(東京・丸の内)において『帝大造船学』、 『ギメ・ルーム開設記念展『驚異の小部屋』等の企画展に作品を展示中であり、過去には、同館『造形美考』、 『東大醫學——蘭方医学からドイツ近代医学』にも展示。『YIA ART FAIR2016』(GALLERY DA-END、ベルギー)、『ART PARIS 2013』(GALLERY DA-END、フランス)、『SOFA NEW YORK2012』(MEGUMI OGITA GALLERY、アメリカ)等のアートフェアにも作品を展示し、海外においても活動の幅を広げている。

博物資源から様々なイメージを抽出し、立体芸術における造形と形態の関係について調和を深め、新しい領域を解放できるよう実験的に制作を進めています。

幾何学模型に代表される人間の思考から発生した非形象的な「形」と自然界に現存する進化を表す「形」、両者の形に共通する美しさの根源は純粋さであると言えます。また、人工物における純粋さとは機能を追求した場合に「形」となり現れます。それらの形と立体芸術における造形は極めて密接な関係にあると考えています。過去には非造形を通じて、観念と物質の関係に迫る動きもあり、現在もコンセプチャルな創作活動は現代美術における主流となっています。一方で、非造形により表現された形と、徹底して造形することで現れた形の両方が混在した場合、得られる印象にはどのような違いがあるのでしょうか。

本展示において、自然史標本や廃材を再構成した作品と、日本の伝統的な技法による作品が同一空間に展開されることで、造形と形態の関係をより強く提示します。さらには、学術と芸術、形象と非形象、技術と材料、伝統と前衛、天然と人工等の様々な視点から、対比と融合を繰り返し制作した作品と対峙することで、自身と向き合うことにも繋がると考えています。

現代には再利用可能な資源が多くあり、それらに着目して芸術の領域において活用することは、新しい造形の可能性を強く感じさせ、同時に現代美術におけるホットスポットになり得るものでもあります。

菊池敏正

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