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新・日本のやさしい化粧文化史

古代、化粧のはじまりから美白ブームの平成まで、日本の化粧の歴史・文化を辿るコンテンツです。

第48回 昭和時代〔戦前〕-7 自由に個性美を表現する化粧へ<髪型-3:ふたつのウェーブ技術>

近代ヘアスタイルへのターニングポイントとなった大正から昭和初期。女性のライフスタイルが変化し、洋服の浸透とともに髪型にも「断髪」「ウェーブヘア」の登場など大きな変化がありました。今回は前回からの続き、「昭和時代〔戦前〕(1927-1945)の髪型-3」についてお話を進めます。当時、永久的ウェーブと紹介されて女性たちに話題となり、次のトレンドとなっていったウェーブ技術のお話です。

【マルセルウェーブとパーマネントウェーブ】

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前髪に鏝をあててウェーブをつくる女性/『婦人世界』(昭和7年4月号)

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マルセルウェーブのかけ方イラスト図/『近代美しき粧ひ』

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パーマネントウェーブをかける女性/『理容と衛生』 (第10巻昭和12年5月号)

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昭和初期のパーマネントウェーブ機/『近代美しき粧ひ』

日本でのウェーブ技術の先駆けとなったマルセルウェーブ。このウェーブ加工は、ある程度の時間は保つものの洗髪すればもとの直毛にもどってしまうという一時的なものでした。その点、永久的ウェーブ法として紹介されたパーマネントウェーブは、最も長持ちするウェーブ技術として注目を集めていきます。

昭和9年の『現代・美容読本』では、当時流行のマルセルウェーブと新登場のパーマネントウェーブを比較して、「洋髪にウェーブの美を出すマルセルウェーブとパーマネントウェーブの異差はどんなものでせうか。マルセルウェーブは山ノ手令嬢を表現して、やはらかな美しいウェーブを出し、和服に多分の調和性を有してゐます。従って淑かなといった感じがします。パーマネントウェーブは、ビルデング街のオフィスガールの表徴として強い線を発揮し、洋装に調和を興(あた)へてゐます。従って近代女性の美である、明朗、活動、理知的の表現をなしてゐます。」と解説し、マルセルウェーブは和服に合い淑やかな印象のやわらかいウェーブスタイルとなり、パーマネントウェーブはオフィスガールのような洋装に合う強いラインのウェーブであると、洋髪ウェーブの美しさの違いについて解説しています。

また、「時間的と経済的にはどんなものでせうか。マルセルウェーブをなすアイロンはご存知の通り、只今では普通の家庭にはどこにもあります。パーマネントウェーブをなすミシンは、値段があまりに高く、現今のところでは家庭に普及せしめることは不可能です。経済的に云えばマルセルウェーブが断然優るでせう。一方パーマネントウェーブは時間的に優っています。即ち一度パーマネントウェーブをなせば、先ず六ヵ月間は誰方にも保證し得られるのです。短時間毎に、毎度アイロンをかけねばならぬマルセルウェーブより時間的には、遥かにパーマネントウェーブが優れているわけです。結論としては、パーマネントウェーブは明日を約された流行でありますが、マルセルウェーブは大衆に対する潜勢力を有して、永久に独特の美を保って行くことでせう。」と結んでいます。

このように紹介されたウェーブ技術は一般女性の間にも浸透していき、洋髪ウェーブという近代女性の美しさを表現するヘアスタイルとして広く受入れられます。この2つのウェーブ技術ですが、その後の動向はというと、長期間ウェーブを保つのに優れたパーマネントウェーブにシフトしていくことになります。

次回は、このパーマネントウェーブについてのお話です。「昭和時代〔戦前〕の髪型‐4」で、引き続きお伝えします。11月15日更新、お楽しみに!

参考文献
『近・現代化粧文化史年表』/ポーラ文化研究所編
『明治・大正・昭和の化粧文化/時代背景と化粧・美容の変遷』/ポーラ文化研究所編
『モダン化粧史/粧いの80年』/ポーラ文化研究所編
『近代の女性美 ハイカラモダン・化粧・髪型』/ポーラ文化研究所編
『美容現代史』/日本理容美容教育センター
『美容文化論』/日本理容美容教育センター
『現代髪学事典』/高橋雅夫編集 NOW企画
『現代美容読本』/美容の友社
『近代美しき粧ひ』/牛山春子著 岡田文祥堂
『婦人世界』(昭和7年4月号) /婦人世界社
『理容と衛生』 (第10巻昭和12年5月号) /理容と衛生社
『建築写真類聚 理髪店と美粧院』/昭和14年刊

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